シアターコクーン・オンレパートリー2013
+阿佐ヶ谷スパイダース

あかいくらやみ

 
幕末へとひた走る疾風怒濤の時代。
そのあまりに悲惨な結末ゆえに歴史の花道から消された信念の集団があった。
敗戦直後の日本を生き抜かんとする若者が、
夜の闇のなか、復讐と血脈がうごめく過去に落ちていくー。
道を見失った報復の連鎖のその先に何を見るのかー。

■ものがたり
幕末。過激な尊王攘夷を邁進したため、賊軍と断ぜられた憂国の士、水戸天狗党一派。尊攘という、いや義という幻想を命を賭して追い求めた天狗党は、あまりにも凄惨なる結末で幕を閉じた。数年後。目まぐるしく時勢は移ろい、晴れて官軍となった天狗党残党による血で血を洗う復讐劇の幕が開く。しかしそこでは虚無だけが漠々と無限に広がる。昼とも夜とも夢ともつかぬ暗闇の中、刀を振る音と、肉が裂ける音ばかりが果てしなく聞こえ続ける。
 
私はこの劇の始まりを天狗党の争乱から八十年余り過ぎた太平洋戦争直後と定めることにした。こうした仕掛けがどれだけのものを生み出せるのかはまだハッキリとはわからないが、活劇だとか史劇だとかといった範疇に収まらないものになるのではないだろうか。
山田風太郎氏の傑作小説を恐れ多くもあくまで土台とさせて頂き、そして阿佐ヶ谷スパイダース史上最大の劇場となるシアターコクーンという空間を浮遊して、また一つ新たな冒険が出来ればとニヤニヤ武者震いをしている。(長塚圭史)

【作・演出】
長塚圭史
【原作】
山田風太郎「魔群の通過」
【出演】
小栗旬 小日向文世 白石加代子 原田夏希
小松和重 古舘寛治 横田栄司 福田転球
武田浩二 駒木根隆介 斉藤直樹 六本木康弘
木下あかり 後藤海春 後田真欧
中山祐一朗 伊達暁 長塚圭史
中村まこと 大鷹明良 小野武彦
■東京公演:Bunkamuraシアターコクーン
2013.5.05-26
■大阪公演:森ノ宮ピロティホール
2013.5.30-6.02